ツナワタリマイライフ

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「一流の記憶術」で記憶の原理原則を学ぶ

はじめに

だいぶ前からkindle unlimitedで入っていて、たまたま手持ちがなかったので読みました。こういうのいいね、アンリミ。アンリミじゃなくても300円と安いのでおすすめ。

記憶。暗記。ぼくは暗記が学生時代からとても苦手で、かつ現在もひとの名前を覚えるのが苦手だったりします。今は受験勉強のような暗記をすることはありませんが、ちょっとしたことを覚えるときにヒントになればと思い読みました。

記憶の原則

しっかりしてるのは人間の脳を記憶の観点からしっかり原則として説明してくれていることです。実際に後半にでてくる暗記術だけでも十分に覚えられるんでしょうけど、原則を知っていると応用しやすいですよね。

記憶は「符号化」「貯蔵」「検索」の3stepを経ると述べており、このどれか1つでも欠けていては記憶しているとは言えない。( 別の言い方で記銘、保持、想起と書いてありました)

まず最初に符号化、あるいは銘記することで覚えたい事柄を頭のどこかに刻みつけなければ当然覚えることはできませんし、刻んだ後一瞬で帰化してしまってもよくありません。そして保持してあったとしてもそれが検索できなければそれは覚えていないと同じということがわかると思います。

また、記憶にも三段階あるといい、「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」があります。感覚記憶は我々が普段生活している中で、刺激を受けて感覚として感じるものです。これは本当に一瞬で過ぎ去ってしまいます。衣服に服が触れる、空気を吸う。キーボードを打ったときの打鍵感。こんなもの覚えていませんよね。

その中で意識したもののみが短期記憶として残ります。これは脳のワーキングメモリとしてもよく知られている、一定期間保持できる記憶領域です。しかしこれも短期というだけあって、そのままでは消えてしまいますし、容量にも限界があります。

これを超えて長期記憶となったものは、かなり長い期間、量保持できることになります。

そして脳のメカニズムについて以下のように述べられており、

前提知識を述べると、人間の脳には1000億個にも及ぶ神経細胞ニューロン)が詰まっています。これらの神経細胞は互いに結びついており、網の目のような構造をなしています。このネットワークのうえを電気信号や化学信号が行き交うことによって、私たちは思考や運動といったさまざまな活動を行っています。  このネットワークは、あるきっかけがあると何らかの変化を起こし、そのきっかけがなくなっても、変化した状態のままであり続けます。ちょうど、金属に力を加えて曲げると、そのまま維持されるのと同じような性質です。これを「脳の可塑性」と言います。(位置331)

繰り返し「想起」すること、それも一定期間後に想起することが重要と述べています。

記憶の第一ステップを考えると、そもそも注意を向けていないものは覚えられるわけがないわけで、ひとの顔や名前を覚えられないひとはそもそも覚える気がない可能性が高いですね。(自分もそんな気がします。。。)

実際のところ、注意を向けるだけで、日常の大半の物忘れを防ぐことができます。例えば、鍵をかけるときに、「いま私は鍵をかけた」と頭の中で言ってみる。朝ごはんを食べるときに、「今日の朝ごはんは、パンと目玉焼きとサラダだ」といった具合に、食べた品目を音声化してみる。あるいは、食べたもののイメージを思い浮かべてみる。たったそれだけでも、覚えておける可能性が高まります。  日常的な物忘れに悩んでいる人は、ほとんど手間もかかりませんから、試してみる価値があるでしょう。(位置892)

あと僕よく忘れ物をするんですが、机の下の見えづらいところに何か置くとき、(あっ、これ忘れそう)と思ったら周囲にアピールをかねて「はいこれ僕今日忘れますー」と口に出すようにしています。これがあると忘れないのでやはり意識を向けるというのは大事ですね。

そして想起するためには手がかりは多ければ多いほど良い。

情報の関連付けをするときには、関連付けるべき手がかりは何かを考え、適切な手がかりと関連付けること。これが出来なくては、いざというときに思い出すことはできません。(位置837)

例えばこれは別の本で読んだんですが、いつも同じ机に向かって勉強するよりも、カフェ、図書館、学校と場所を変えたほうが無意識で感覚が受けるものが変わってくるので、結びつきが強化されて覚えやすくなるという話がありました。それと同じですね。

何をきっかけに自分はそれを覚えるのか?という意識を向けられると確かにかなり違う気がします。

まとめると

  • 意識しないものは覚えられない。まず対象を意識する
  • 想起するためのきっかけをできるだけ多く見つける。感情、感覚も効果的(だから音楽は感情を呼ぶんですね)
  • 短時間の繰り返し(手続き記憶)も有効だが、一定時間後に思い出す訓練が有効

ということになります。納得。

記憶術

さて本書の後半は受験勉強に代表される歴史の記号暗記や、買い物リストの暗記、果てには円周率100桁までならいける、というような類に使える記憶術が乗っています。

学生時代の経験から知ってる!というものものあれば、はじめてきくものもあり、どれも有益そうでしたが、自分には役にたたなさそうでした。(そんなに頑張ってたくさんのものを覚えるシーンがない)

著者も「たいていのことは前半の原則だけで覚えられる」といっている通り、後半は流し読みしました。気になる方は買って読んでください。

自分の生活に応用する

さて、本書の内容を自分の生活に応用する、すなわち自分が覚えられずに困っていることに対して、どう応用するかを考えてみましょう。

コマンドオプションが覚えられない

ls -aとかはともかく、tar zxvとかtar zcfとか。sed -r -e ‘/^foo/s/foo/bar/g’ とか。find / -name “*.pyc” -type f -delete とか。ね?ね?(伝われ)

ちなみにこれらソラで書いてるので間違ってる可能性あります。

まずはググってすぐコピペするのでは「意識」できてないのでその後何十回もググることになります。まずは声に出すなどして、意識して使う。そして関連付けという意味で、なぜそのオプションはその記号なのかを考える。

rpm -qpのqはクエリなのかな。pはなんだろう。

3つめの頻度については自然に使うシーンがあるたびにやればいいでしょうから、上記2つを意識するだけでもだいぶ違いそうです。

歌詞が覚えられない

自分の歌詞ですら覚えられません。スタジオでボーカルをやることがまぁまぁあるのですが、もう本当に苦手です。

最初に意識したのは一定期間あいてからまた覚えようということでした。これはまぁまぁ効くのですが、1ヶ月前から根気強い暗記作業が必要で、自分にとってはかなり苦痛でした。

まず意識するというフェーズですが、音楽と一緒に歌うだけでなく、朗読してみてその言葉に注意を向ける。

そして関連付けを増やすという意味で、その歌詞からイメージを浮かべたり、勝手に想像して追加情報を加えてみる。

最後に歌は最初は出て来ればなんとかなりますから、頭文字なり、歌い出しを何らかの順番をつける、それこそ頭文字法を使うとか、1番と2番のサビは一緒というメタ情報を覚えるとよさそうです。

コード進行が覚えられない

これ悩んだんですけどダメでした。

暗記術を使うならコード記号を何かのイメージに結びつけてやればいいんでしょうけど。すでに記号だしそうするしかないのかなぁ。ナンセンス感がすごくない?

かといってkeyを覚えて、コードを数字の記号で覚えたとしても結局それは覚えないといけないわけだし、コードの上昇感や下降感、コードの変化にどう自分が感じるかとか、この歌詞のこの部分でこの進行なのがいい!とかいう感情とともに覚えるとかしか浮かばないです。

音楽家のみなさんは絶対こんな低レベルなことで悩んでないと思うんですが、何かヒントあれば教えて下さい。

おわりに

暗記が苦手な自分でも原理原則を抑えれば日常の些細な場面で応用できそうです。暗記が役に立たないことはないと思うので、すべてのひとにおすすめの本ですね。