ツナワタリマイライフ

日常ネタから技術ネタ、音楽ネタまで何でも書きます。

「言葉にできるは武器になる」を読んだ

はじめに

読んだ。

「言葉にできる」は武器になる。

「言葉にできる」は武器になる。

常に言語化の大切さを考えているひとなので。

とはいえ、この本の言いたいことは"はじめに"で言いつくされている。

  • 「どうやって伝わる言葉を生み出せるのか?」という問い
  • 「言葉をコミュニケーションの道具としてしか考えていないのですか?」と問い返し
  • 「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」と提案する。
  • 「言葉は思考の上澄みに過ぎない」とし、
  • 「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」と結論づけている。

いくら外に発せられる言葉の使い方を、テクニック的に学んだとして、自分自身の中で先立って存在する「内なる言葉」と向き合い、意見そのものを育てなければ伝わることにはならない、ということである。ごもっともすぎる。

実は人間って、実際に言葉に出す前に、自分の頭の中で考える(という名の、内なる言葉を発している)んですね。ひとりのときはそれが外に出て、独り言になってしまったりもします。

まずこの内なる言葉に気づくことが第一ステップ。そしてその言葉の解像度をあげるとおのずと意見が深化し、伝わる言葉を発することができる、というストーリーだ。さすが伝えるプロ、明瞭である。

本章は3つの章からできているので、振り返ってみる。

1. 「内なる言葉」と向き合う

まず前提として、「伝わった」「伝わってない」を4つのレベルに分けている。(p18〜20)

  1. 不理解・理解:そもそも話が伝わっていない、あるいは誤っている
  2. 理解:伝えたことが過不足なく伝わっている。ただし、理解"だけ"できる状態。
  3. 納得:相手が話したことを、頭で理解しただけでなく、腹落ちしている。「なるほど」
  4. 共感・共鳴:理解した上で、心が動かされ、自分の解釈も加わった状態

これを眺めると、2にすら至らない例も周囲を見ていると多いように感じる。。。この本ではやはりコピーライター、その文字、言葉を見て、実際に受け手に"共感"してもらい、行動に移すところまで範疇に入っているのだろう。

p20では「伝わり方は、人間性の評価につながる」とし、伝わらないことの恐ろしさを述べている。それだけ「言葉にできるは武器になる」逆をとれば「言葉にできないは戦えない」ことを示している。

外にしている言葉以外に、みんな「内なる言葉」を発しているが、それを意識できていない。これにより、「内なる言葉」が深くないから「外の言葉」にしても伝わらないことや、逆に「外の言葉」を受け取っても、「内なる言葉」として解釈できないため、実行できない、身にならない、といったことが起きる、

この点は、僕が読書をはじめてしばらくしてから感じたことと一致している。例えば本を読んでも、まずその本の内容や、要点を覚えていないのだ。覚えてないから、他者にどんな本だった?とおすすめすることができない。だから僕は本を読んだ後、必ずブログに書いて何らかの結論を出すようにしている。

これは記憶に残すために外部記憶に出力する、あるいは書き出すという行為で記憶力を高めるという側面ももちろんあるが、ブログに「書く」ことで、「自分の言葉」で書くことで、(この本でいう)「内なる言葉」として解釈できているからに他ならない。

「外の言葉」として書かれている本の「言葉」を、「内なる言葉」と向き合い、自分の意見を育て、深化させたものを、ブログという「外の言葉」に再度吐き出す。このプロセスによって自分の意見が育ち、伝わる言葉として発することができるようになる。

このことを昔は言語化できていなかったように思う。

また、起きたことに対して自分になぜ?を問い続けることも、内なる言葉のノックを繰り返して思考を深化させることに役立つ。あらゆる言葉に疑いを持つことはトレーニングになる。ぼくはこうやって言葉と向き合うのが大好きだ。

できるならそれを友人と話すのはもっと楽しい。

2. 正しく考えを深める「思考サイクル」

この章では「内なる言葉」の解像度をあげる(=深化させる)ための具体的な方法が書かれている。すでに書いてしまった通り、アウトプットをして、それを連想させたり深化させたりして、横や縦に広げていったり、グループにしたりして、また問いを行って言葉にする、このサイクルを繰り返す。

ここはいろんな手法を紹介しているけど、とにかく「書き出すこと」と「書き出したものへの問い」を繰り返しなさい。と言っているだけである。なぜ書き出すことが大切かというと、人間、なかなか思っていないことは自分の意見として書きづらいものだからだと思う。書けるということは、書くことである"言葉"にするということは、少なくとも自分の中では(最初に紹介した4つのレベルでいう)納得、あるいは共感をしているということになる。これを繰り返すことで、当然他者にとってもそのレベルで伝わる言葉になっている可能性が高い。

ぼくはこれまで300記事以上ブログに記事を書いてきたが、これは間違いないと思う。ここ数年で言語化の能力は向上したと思う。

余談になるが、アウトプットすることで一度脳のメモリから落ちるので、インプットもできるようになるのも感覚的にある。これはかなり昔だが以下の記事に書いた。ブログを書き始めた直後だったかな。

take-she12.hatenablog.com

3. プロが行う「言葉にするプロセス」

最後のこの章は深化した言葉を、さらに相手を動かすに値する言葉にできるか、そのための作戦と、習うべき型が書かれている。

本文でも語られている通り、すでにエッセンスは2章までで完結していて、この章はどちらかというとつけたしのイメージ。

自分自身の気持ちや思いという素材を磨いていく第2章こそが重要出ると考える。そして、内なる言葉を磨いた上で、言葉にする方法について説明するのが、この3章の役割である(p147)

残りはそれこそ「外なる言葉」としてのテクニックであり、冒頭からしつこく言われているように、この3章だけ習得しても何の意味もない。また、コピーライティング的な視点も感じたので、ここでは項目を羅列するだけにとどめる。少なくとも今これを「わかった」ところですぐに活かすのは難しい。

日本語の「型」を知る

  1. たとえる(比喩・擬人)
  2. 繰り返す(反復)
  3. ギャップをつくる(対句)
  4. 言い切る(断定)
  5. 感じる言葉を使う(呼びかけ)(誇張・擬態)

言葉を生み出す「心構え」を持つ

  1. たった1人に伝わればいい(ターゲッティング)
  2. 常套句を排除する(自分の言葉を豊かにする)
  3. 1文字でも減らす(先鋭化)
  4. きちんと書いて口にする(リズムの重要性)
  5. 動詞にこだわる(文章に躍動感を持たせる)
  6. 新しい文脈をつくる(意味の発明)
  7. 似て非なる言葉を区別する(意味の解像度をあげる)

おわりに

自分自身がなんとなく感じていたことを見事に言語化していて、自分自身の言語化に対する「内なる言葉」をこうやって深化させて意見としてまとめることができた。

「うまく言葉にできない」ひとが、まず「内なる言葉がある」ことを知り、まず第一歩として何でもいいからアウトプットするきっかけとして、おすすめできる良い本だと思います。