Block の "From Hierarchy to Intelligence" がおもしろかった
deeeet さんが紹介してくれたやつ
AIによる組織構造のフラット化は言われてきてるがここまで言語化されてるのは初めて読んだかも.参考になった https://t.co/eKsb1UDCVJ
— Taichi Nakashima (@deeeet) 2026年4月1日
From Hierarchy to Intelligence - Block
Block(Square / Cash App の親会社)と Sequoia Capital の共同論文で、AI 時代に組織構造そのものを再設計するという話。
ざっくり内容
2000年間、組織が階層型だったのは「それがベストだから」ではなく、人間の情報処理能力に限界があったから。1人の指揮官が管理できるのは3〜8人。この制約がローマ軍から現代企業までずっと生きている。
AI でその制約がなくなるなら、組織構造も変わるよね、という話。
Block は4層構造を提案している。
| 層 | 役割 |
|---|---|
| Primitive Layer | 決済・融資・カード発行など金融の原子的要素 |
| World Model | 社内情報+顧客データから構築される因果・予測モデル |
| Intelligence Layer | 顧客の状況を認識し、複数機能を組み合わせてソリューション生成 |
| Interface Layer | Cash App / Square 等の配信面 |
ポイントは、中間管理職が担っていた情報流通・調整の役割を World Model と Intelligence Layer が代替するということ。マネージャーの仕事を分解すると、大半は情報の中継と調整であり、それは AI でできる。人間に残るのは育成・実装・課題推進。
その結果、人の役割は3つに再編される。
人の役割は3つに再編される。
- IC: 手を動かす人。World Model から直接コンテキストを取れるので上司の指示待ち不要
- DRI (Direct Responsible Individual): 特定課題の責任者。チーム固定ではなく課題固定。横断的にリソースを引く
- Player-Coach: 手も動かすし人も育てる。調整は AI に任せて職人技と育成に集中
before / after をまとめるとこんな感じ

| 従来の機能 | before | after | 区分 |
|---|---|---|---|
| 全社の状況を把握・統合 | VP / 部長 | World Model | 🤖 |
| 経営方針を現場に伝える | マネージャー | World Model | 🤖 |
| 現場の状況を経営に上げる | マネージャー | World Model | 🤖 |
| IC に判断の文脈を与える | マネージャー | World Model | 🤖 |
| ステータス会議・進捗管理 | マネージャー | World Model | 🤖 |
| 顧客状況に応じた提案設計 | PM + 営業 | Intelligence Layer | 🤖 |
| 基盤サービスの運用 | インフラチーム | Primitive Layer | 🤖 |
| チーム間の優先順位調整 | マネージャー同士 | Intelligence Layer + DRI | 🤖+👤 |
| ユーザーへの価値配信 | プロダクトチーム | Interface Layer | 🤖+👤 |
| リソース配分・アサイン | マネージャー | DRI | 👤 |
| 特定課題の推進・完遂 | PjM | DRI | 👤 |
| 技術指導・人材育成 | マネージャー / TL | Player-Coach | 👤 |
| 専門領域の実装・構築 | IC | IC | 👤 |
思ったこと
自分はこれまで IC → GM → 部長 → VP とやってきた。「情報流通と調整」の比重はGM より部長のほうが増える。VP だと重要な意思決定とか大方針の割合が増えるが、それも自ら World model を構築して実現している感覚はある。色んな人と会話したりレポーティングを受けて、World Model を構築し、Inteligence Layer である打ち手案を検討したり試したり振り返ったりしている、と言える。
今は VP で「意思決定に集中する」ことをやろうとしているが、実際は意思決定に必要な情報を集めるコストがかなり大きい。World Model がそれを代替するなら、意思決定の純度が上がる。そして、その状態を VP だけの特権にせず現場の DRI や IC まで広げるという話だと思う。
この言語化はありがたい。あと、そこまで外れていないだろうなという感覚もある。自分は実際に個人開発では Claude Code で Director/Worker 構成を組んでいて、AI Agent が全セッションの状況を統合して報告してくれるので、自分は判断だけすればいい状態に近づいている。小さいスケールだが、World Model 的な体験をしている実感がある。
情報が階層を経由しないと届かない時代は、意思決定できるのは上位層だけだった。AI が情報をフラットにするなら、委譲のコストが劇的に下がる。マネジメントをやってきて、AI も触ってきたからこそ、この記事の言っていることが肌感覚でわかるので面白かったし、今後の時代がどうなるかも読んでいく必要があるなーと感じた。