ツナワタリマイライフ

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SREに関する雑談 bosyu#1 SRE チームの立ち上げについて

はじめに

こういう bosyu をやってみています。

bosyu.me

ありがたいことに、応募いただいて、実際に対応したので、個人情報、特定可能な情報は伏せつつ、どういう話をしたのかをまとめていきたいと思います。

実際の雑談までの流れ

「SRE 組織の立ち上げ」という点で、最初のメッセージでざっくりと話したいことの概要は聞いているものの、まったく共通点もない他人同士がいきなり話して30分や1時間で問題解決に至るのは難しいでしょう。事前に Google Docs に話したいこと、質問したいことを書いて共有してもらい、現状で回答できるものは事前に非同期で回答してしまいました。

ここでやりとりする分と、当日の30分までは無料でず。だいたい2、3往復しました。

その上で、当日はこういう流れでいきましょう、ということをシミュレーションしたり、当日この部分を最初に話してもらえませんか?みたいなことを伝えて、当日を迎えました。

ちなみに今回は応募者の方のチームから4名参加されました。特に想定してたわけでもないんですが、断る理由もないので、何人こられても構いません。

当日話したこと

背景の理解

背景を5分、10分ほどで説明してもらいたい気がしました! 何が問題で、どう解決したいのか、なぜ SRE チームを立ち上げる必要があるのか、など 1時間終わったあと Next Action が決まる、あるいはもともとしようと思っていたものよりよいものになればいいなと思っています

ということを事前のメモ上で伝えていたので、まず相談者のチーム・会社が持たれているもともとの課題をお聞きしました。

  • 手作業が多く、信頼性を損なう問題があったため、工程やプロセスを見直し、手堅いものにした
  • 一方で、安定性は担保できた一方、アジリティが失われてしまった
  • より信頼性を担保した形で、高速にサイクルを回せようにしたい

ということが背景であることがわかりました。

計画のレビュー

話している途中で、実際に今書いている資料を見せていただき、上記課題をどのようなアプローチで解決するのかを説明する資料を見せていただき、そのレビューを行いました。

結論としては、「解決しようとしている問題も、その解決のために向かう方向も正しいけど、そのやり方に注意したほうがよさそう」という旨のコメントをしました。具体的には

  • リリースエンジニアリング、インフラのセルフサービス化、マイクロサービス化、モニタリングとアラート対応、ログ基盤の構築、SLI/SLO... など、トピックがたくさんあり、これら1つ1つとっても深いテーマなので、一気にやろうとするのは難しいかもしれないので優先順位をつけたほうがいいのでは?特にリリースエンジニアリングに関する自動化が最優先というコメントをしたり
  • SRE っぽいことを進める上では、ツールや技術はもちろんのこと、それを各チームでリードしてくれるひとを作らないと絶対広まらないということを自身の経験あるいは群衆の英知もしくは狂気 を使って説明しました。各サービスチームごとに Embeded SRE のような形で進めていくとのことで、現状興味があるひとがいるということだったので、その点はそういうひとにリードしてもらえればいいなと思いつつ
    • それぞれの要素、プラクティス1つ1つが難しいので、各担当がバーンアウトしないかが心配という懸念をお伝えしました
  • マイクロサービス化に関しては、境界を決めることが難しいため、サービス境界をどう見極めるか、あるいは途中で方向転換できる自信がないなら、あと回してもいいのでは、とお伝えしました
    • 直近では"明らかに切れる"サービスが1つあるということだったので、そのサービスを実験として、Site Reliability Enginering のプラクティスもまわしていくという方向性だったということがわかったので、それは非常に良い選択だというコメントをしました
  • 自分自身の経験から、考え方やプラクティスを組織単位で推し進めるための方法として、まず最初にそれなりのひとが見ている場所に文章を書く、という話をして、そういう場所が今ないので作った方がいいかもしれない、という課題感を持っていただきました
    • 問題と解決策、目指す世界を言語化した上で、各チーム単位で話にいく、というアプローチをとった話をしました

1時間と少しの時間で話は終了しました。

Feedback でいただいたこと

さて、今後もよりよくしていきたいということで、フィードバックをいただきました。

以下、回答を差支えなさそうな範囲で紹介させてください。

聞けてよかったこと、話せてよかったこと、印象に残っていることががあれば教えてください

  • 我々のSREのToBeをレビューしてもらえて忌憚のない意見をいただけたのが本当にありがたいです。こういうのはなかなか外のエンジニアに見てもらう機会がないので貴重な体験でした。
    • あと事前の質問シートのchaspyさんの返信濃度半端ない。あのアウトプット力は見習わせていただきます。
  • 自分たちのSREの方針をレビューしていただけたことが非常にありがたかったです。
    • 印象に残っているのは、chaspyさんのアウトプットの量と質に驚きました。自分ももっとアウトプットするぞという刺激になりました。
  • Cultureの浸透・定着(・継続的改善)がミッション、というところが最も感銘を受けました。他のメンバーの思考・行動に良い影響を与える、というのは僕の最も不得意なところなので、もっと真摯に取り組んでいきたいです。
    • Production Readiness Check、大変参考になりました。「開発初期段階からSREが関与しよう」という取り組みを始めたところでしたが、そのためにもこのようなチェックリストは必須ですね。※当然なのかもですが、明文化・周知・啓蒙はいろいろ応用できそうですね。
    • 「MSAは難しい。モノリシック最高!(苦笑)」は、僕も感じてることでした。特に「何でもRDB、何でもJOIN」で永続データ管理をしてるモノリシックサービスには手を出しづらい。。。昨年末ちょっとだけ検討に手を付けてそれっきりになってしまってますが、分割ポイントをまた検討したいなと思いました。
    • monorepoは他のメンバーに押し付けづらいな、、と思ってましたが、CI/CDの統制という優位性はちょっと自信になりました。
  • SREが作った仕組みを、実際に開発に使ってもらう事がいかに大変か、という話題はとても印象に残りました。定常的なサービス運用/運営にはSREは出てこないという形を考えた時、やや不安もあったのですが、お話できてよかったと感じました

自分の経験から、Blog に書いたアウトプットに紹介しながら、なかなか文章に現れない、大変だったという点が"生の声"として聞けてよかったという感想を多くいただき、よかったなと思います。

また、社内でいくら揉んだとしても、それを社外の、利害関係がない立場から意見をもらえるというのは良い機会だったようです。

話しきれなかったこと、聞ききれなかったこと、もう少し詳しく聴きたかったこと、期待を満たさなかったことがあれば教えてください

  • 元々議論したかった議題とは直接的にはずれていたかもしれませんが、結果的に聞きたかったことは聞けたので満足しています。
  • リポジトリ管理、ブランチ戦略、CICD周りはもうもう少し聞ければよかったかなと思っています。
  • 苦労話が聞きたかったな、とあとで思いました。
  • SRE無職説を説いた時の周りの反応等も聞けばよかったなと思いました

今の思いつきですが、このあたりは事後のフォローとして、個別にメッセージをお送りしようと思います。

本日の時間がみなさんの次のアクションにつながりそうでしょうか?そうであればアクションの内容を教えてください

  • まずは SRE の活動の社内認知。
    • SRE としての活動を社内に認知してもらうアクションが足りなかったことをchaspyさんがされていることを通じて気づきました。
  • 繋がりそうです。
    • 早速あのあと、4人で今後の進め方について1時間くらい話しました。
    • まずは、リリースエンジニアリングの自動化・仕組みづくりを進めていこうとしています。
  • できるところから徐々に、
    • リリース作業の改善 <-- CI/CDの統制を徐々に
    • 開発開始時の改善 <-- SLI/SLO, Production Readiness Check を広げていきたいと思ってます。そのためにも
    • ドキュメンテーション、啓蒙 ですね。
  • 現在のSREタスクを開発に渡してゆくための、タスクの具体化、優先順位付け、渡す内容整理(そのまま渡すのか?整理(物によっては自動化)してから渡すのか)、等の準備に参考になりました。また考えている事や実験した事等を「みなが見る所」にoutputしてゆく事も我々のactionになってゆきそうです

せっかく貴重な時間を、事前の docs へのインプット、レスポンス含め使っていただいているので、何かしら1つでもアクションにつながることがあれば、この会は価値があったかなと思います。

おっしゃられているように、課題はわかっている、それに対してどういうことをすればいいかも議論して見えはじめている、でも本当にいいんだっけ?という感じだったと思うので、その方向性に対して、難しそうな点、苦労しそうな点をお伝えすることで、そのアクションの解像度があがったのではないかな、と思います。

実際に会話に至るまでの流れに不備はありませんでしたか?改善できる点があれば教えてください

  • 特に問題はありませんでした。zoom 様様ですね
  • 事前に質問表ベースでコミュニケーションが取れたのも議論の土台となって良かったです。
  • 我々の出した項目に対し、まずこちらの背景を要求頂いて大変助かりました。
  • 特に困ったことはありませんでした。

事前のやりとりは実験的でしたが、うまく働いたようで安心しました。

会話を行う上で気になった点、不快に思った点はありませんでしたか?改善できる点があれば教えてください

  • 最初はやはりお互い硬い感じになってたかなと思いました。はじめのアイスブレイクをもう少し上手くやれれば良かったと反省してます

その通りですね、フィードバックいただき感謝します。この意見をいただいて2件目では意図的に冒頭にアイスブレイクをいれています。

その他自由に感想を教えてください

  • 貴重な体験をさせていただき本当に感謝してます。
    • chaspyさんの最初の圧に少しびびりながらも徐々に打ち解けられていって良い時間を過ごせたと思います。
    • 自分が体験してみて非常にプラスな時間でしたので、chaspyさんのこの活動がもっと広がれば最高です!
  • まず、エネルギーの質・量のケタが違うな、とエンジニアとしての日々の努力不足を痛感しました。
    • 今まで外部の勉強会で、他の方が「うまいことやっている」のを学ぶことはあっても、「どれだけバリバリやっているか」を実感する機会はなかなかありませんでした。
    • なんだか、今後頑張っていけそうな気がします。
    • 本当にありがとうございました。
  • いい刺激になりました。

勉強会のあとの懇親会で話を個別に聞く、みたいな感じに近いのかもしれませんね。勉強会での発表内容や、ブログの内容はどうしてもきれいでまとまったもので、応募者さん自身のケースに合わせて、こういう苦労がありそうだね、あったよ、という生の話を聞ける機会はなかなか得るのは難しいかもしれないので、そういう意味で良い場を提供できたのではないかと思います。

また、僕自身も、話す上で自分自身のブログのアウトプットを Reference として提供したり、知っていることを docs で書くなど、アウトプットの力の重要性を再認識できました。今後も怠らずに伸ばしていきたいと思います。気づかせていただきありがとうございます!

なんだか、今後頑張っていけそうな気がします。

めちゃくちゃ嬉しい。。。。!

まとめ

最後に、あらためて今回の bosyu の内容をまとめます。


SRE あるいはそれ以外を雑談したいひとを bosyu

SRE やそれ以外について雑談・相談を受けます。コミュニティ活動の一環で、自分に役立てることがあれば貢献したいのと、自分自身も多様なひとと話すことで学びになればいいと思っています。

  • SRE に関すること. SLI/SLO, Production Readiness, Monitoring
  • AWS, Terraform, Kubernetes, Nginx, Ansible etc.
  • Team Building, Culture Making, OnBoarding
  • コミュニティ活動(SRE Lounge, Terraform-jp)
  • その他質問なんでも

特定の深い技術的な解決よりは相談することで次のアクションの手助けになればいいなと思っています。 30分以内無料、30分以上1時間未満はお酒を何か送ってください。

経歴は https://chaspy.me へどうぞ


補足すると、お酒は amazon の欲しいものリストから選べます。安いのは1000円からあるので、(事前の docs でのやりとりは含まず、当日の会話で30分以上を選ばれる場合のみ、)実際に体験したあとのお気持ちで送っていただけると幸いです。

www.amazon.jp

(なお今回めっっっっっちゃお気持ち積んでいただいて喜びダンスしました。。。。。。。)

また、ここであげていること以外でも、今回やったように、 社内ドキュメント、資料のレビュー というのはお役に立てることだと思います。(もちろん秘密は厳守します)

おわりに

今回、思いつきでのはじめての試みでしたが、満足いただけたようでやってよかったなと思います。今後もコミュニティに貢献できるように、この bosyu は継続的にオープンしながら、自分自身もさらに経験を積み、わかったことや失敗したことをアウトプットしながらさらに価値を発揮できるよう頑張っていきたいと思います。

貴重な機会をいただいた、応募者様、チームのみなさま、本当にありがとうございました!

bosyu 応募いつでも誰でもどうぞ!