はじめに
この本を読んだ。
- 作者: ベネディクト・キャリー,花塚恵
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/12/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょうど歌詞を覚えられないな、とか、同じ資格試験でも同期は効率よく点数取ってるなとか、「効率のよい学習」にはずっとずっと関心があった。
本屋に積まれていて、直感的にこの本は絶対正しいな、自分が知りたいことが書いてあるな、という気がして購入。
簡単に各章ごとに内容を振り返る。
Part1 脳はいかに学ぶか
脳は「保存」と「探索」の二種類あり、探索を繰り返すことで強化される。つまり覚えられないのは、探索できないのだ。
また、脳は忘れる。エビングハウスが提唱した「忘却曲線」は有名だろう。ただし、忘却は悪いことではない。むしろ忘却することで、記憶を強化することが分かった。
Part2 記憶力を高める
記憶は、無意識に周辺情報を一緒に結びつけて記憶する。すなわち結びつく情報が多ければ多いほど思い出しやすいというのは経験であるだろう。これは学習する場所を変化させることが記憶に効果的であることを裏付けている。
分散効果についてもみんな経験したことがあるだろう。詰め込むよりも、毎日コツコツ少しずつやったほうが定着率が高い。
人は何度も学習することによって、ここは覚えた、完璧だ、という幻想に陥る。これを流暢性の幻想と呼ぶ。これを打破するためには必ず自己テストをやるべきだ。自己テストをやることによって本当は覚えていないことが明らかになり、幻想を見ることはなくなる。
Part3 解決力を高める
脳は休息中でも問題を解決し続ける。つまり、10分、20分と何も考えずに休憩する、散歩する、その間にも脳は解決に向かってフル回転している。休憩の間に解決のためのヒントを作り上げる様子をこの本では「孵化」と呼ぶ。
また時間をおいて、別のことをしている間に脳は断片化した情報を補完しようとする。あるものごとから離れて別のことをやっている間も脳は絶えず、関係する情報を収集する。そうして時間を置くと余計なノイズが剥がれ必要なものだけが見えてきて、ある日突然ひらめく。この工程をこの本では「抽出」という。
Part4 無意識を活用する
人間は常に知覚情報から学習している。何に法則性も与えられずひらすら問と解だけを知覚的に与えられれば、脳はパターンを認識し、その法則性を理解する。つまり考える、理解するだけが学習ではない。知覚だけで脳は常に学ぼうとする。
睡眠中も、脳はフル回転している。これまで出てきた事象のほとんど全てを補う役割をしていると考えている。間隔をあけると精度があがるのも睡眠中に脳が情報を整理しているからだ。
感想
以上がざっくりとした要約だが、こんな要約読んだって仕方ないでしょう。Amazonのレビューで低い点をつけているひとは軒並み「即座に使えるテクニック」を求めようとして、それが載っていない、もしくは冗長だと述べているが笑える。研究結果から脳の基本原理を明らかにし、日常例に落とし込んでいる事実を整理したこの本は非常に価値がある。
個々のhow to、すなわち時間を空けるだとか、単語帳を作って自分で見ると良いとか、良いとされてきたテクニックが良い根拠、もしくは実は間違っていたという根拠を脳科学の観点から言えるわけで、これって素晴らしいことだと思う。(若い頃に知りたかった。。。遅くはないけど。)
ちなみに今の勉強ってあんまり「記憶」することってないんですよね。資格試験か、それこそバンドの歌詞と楽器の演奏ぐらい。やっぱりそれに欠けていたのって自己テストかなと思うので、それは活用していきたい。そしてなるべく時間をあけて、コツコツと(笑)
この本の言ってることは本当に普段の自分に当てはまる。案外時間をおいても覚えてるものはしっかり覚えている。これはやっぱり思い出すことが重要ってことだよね。孵化も抽出もよくわかる。(作詞や作曲で経験したことがある)
今後も記憶や学習でうまくいかないときに立ち戻りたいと思う。