はじめに
きっかけは「勉強の哲学」の千葉先生のツイート。
@takwordpiece Tak.さん、お世話になっております。いつも参照させていただいて恐縮なのですが、新刊『勉強の哲学』でも、Tak.さんの『アウトライナー実践入門』を紹介させていただきました。最後の第四章です。お時間ありましたらぜひご覧ください。
— 千葉雅也 『勉強の哲学』発売中 (@masayachiba) 2017年4月4日
何かを思考するとき、僕も他のひとと同じように書きながら思考する。書いてみて、想像を膨らませる。だからブログは友達だ。ただ書いてる途中で構成がわからなくなったり、何が言いたいかわからないまま書き始めて道を見失うこともあって、何か突破口がないかなと思っていたところなので即読んだ。
アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術
- 作者: Tak.
- 発売日: 2015/05/07
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (3件) を見る
ちょうどセールでした。アンリミで無料。
『アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術』7月のKindle月替わりセール対象になっております。この機会によろしければ→ https://t.co/sb0RbPPpZM @amazonJPさんから
— Tak. (@takwordpiece) 2017年7月1日
アウトラインプロセッシング入門
アウトラインといえばwordやパワポでよく見る「アウトラインモード」で、目次(項目)のみが列挙されたものだ。章立てのみが表示され、文章全体の構成が正しいかを簡易にチェックできる。しかしアウトライナーはその項目を作るツールではない。通常文章を書き始めたとき、その章立ては不定だろうし、書きながらどんどん変わっていくものだ。書いてる途中にまた新しいことが浮かんで、それを書き足すと、なんだかこの章は大きくなってしまったから分割しよう、なんてことはよくある。そこで役に立つのがこのアウトライナーだ。
アウトライナーは思考ツール
アウトライナーは前述の通り、章立てを作るためのツールではなく、とめどなく流れる思考、あっちにいったりこっちにいったりする思考の動きに柔軟に追従するためのツールといっていい。僕たちの思考は本当に無秩序だ。友達と話しながら「あれ俺何言ってるんだっけ」ってなるでしょ。
アウトライナーの3つの機能
1.2章で紹介されるように、基本機能はたった3つ。
- アウトラインの表示
- アウトラインを組み替える
- アウトラインを折りたたむ
このシンプルさで、柔軟な思考をサポートしてくれる。表示はそのまんまだとして、入れ替え、あるいは項目の追加削除、段落の上げ下げを柔軟にできることは章建ての柔軟な変更をサポートすることが明白だ。
折りたたみはすなわち本文とアウトラインを相互の行き来して、ボトムアップとトップダウンの視点を入れ替えることをサポートする。思考は先に結論があるトップダウン型と、根底の考えから1つのテーマが見えてくるボトムアップ型、両方があり、その両方が混じり合う。それをサポートしてくれる。
この思考の行き来の、従来の物理的制約について本書ではこう語られている。
トップダウンとボトムアップを何度も行き来することは、頭の動きにはかなっていても、物理的には困難だったわけです。 アウトライナーは、その困難な作業をほとんど意識せず実行させてくれます。アウトライナーの基本機能(アウトライン表示、アウトラインの折りたたみ、アウトラインの組み替え)が、自然にそうさせてくれるからです。そして意識せず自然にできることにこそ意味があるのです。 「シェイク」は、アウトライナーによって誰にでも実行できる実用的なテクニックになったと私は考えています。(位置: 520)
思考ではなくとも、カテゴリ整理のときにトップダウンとボトムアップ2つの整理アプローチがあるということを以前ブログに書いた。
アウトライナーの利点
思いつきを逃さない
思考はいつ出てくるかわからない。そして出てきた途端に書き留めなければ、短期記憶にすら残らず死んでしまう。そんな思考をとりあえずと書いておき、あとで必要なところに動かすことができる。何でも入れておけのEvernoteに対して、そのあと柔軟に別のものとつなげることができる。これがEvernoteに比べた大きなメリットだと思う。著者もEvernoteはノートの概念が邪魔をすると言っていて、それはその通りだと思う。
思考が思考を生む
そしてまた同様に、1つのアウトラインの運用をすることによって、一見関係なさそうな、思考の断片同士が繋がって化学変化を起こすことがあるという。これは自分自身経験があるわけではないが、ありそうだと思う。だって思考は自分が意識できている思考だけではなく、無意識にもとんでもない量を思考、あるいは脳が感じているわけで、近しい別のものから連想で別の発想をすることは容易にありそうだ。
これら2つのメリットについて、本書ではこう語られている。
ここでは小さな思いつきの断片をキャッチし、発酵させ、組み立て、最終的に仕上げていくプロセスのほとんどがひとつのアウトラインの中で行われています。このときのアウトラインは、アウトラインとしてはひとつでも、実態は複数の文章、あるいは「文章の構成要素」の集合体です。つまり「ファイル」という概念がなくなっているのです。(位置 709)
Tak.. アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術 (Kindle の位置No.734-739). . Kindle 版.
生活で使うアウトライナー
本書で紹介されていたThought Log、非常によくできてるなーと思いました。行動するためのDo、生きる環境をクリアにするAs、生きる自分をイメージするBe。もちろんこの型は誰1人同じものはありえず、それぞれ個人にベストな生活アウトライナーの形があるはず。これは実際に使ってみて確かめるしかない。
Cloud Outliner
本書ではommnioutlinerがサンプルとしてあげられていたが、とてもじゃないけど高くて手が出せない。一方でクラウド版のwork flowyは無料プランで到底おさまる気がしなく、そうであれば年額5000円と継続的に使う場合最も高価。さらにiOS版がいけてなく、試しに使ってみたが項目の位置移動ができないように思えた。そこで3つ目の選択肢Cliud Outliner。なぜか執筆日(7/4)は70%offキャンペーンで、Mac版320円、iOS版120円の破格で手に入れた。さっそくMac版のCloud Outlinerでこの記事を書いている。iOSとのsyncもスムーズだし、ショートカットキーも簡単に覚えることができた。
おわりに
本記事はアウトライナーというツールが有益な理由を本書に沿って自分なりにまとめなおしたものだが、同時にアウトライナーの初の実験台でもある。書いてみて思ったことは、ブログを書くとき普段はいきなり書き始めるので、章立てから考えることが(強制的に)できるということ。そしてその章立てを決めてから本文を書き始めたところに普段と順番の違いを感じた。
今回迷ったがあえて本文までがっつりOutLinerで書いてみた。本文自体はブログで書いてもどちらでもいいかなと感じた。いずれにせよTwitterやAmazon商品リンクなど、ブログ上で最後に見直しを兼ねて追加する作業がでてくる。はてなブログでmarkdownなので箇条書き等もこちらではoutlinerでも表示できない。もっといえばexportがイケてないので、htmlで出した後手動でコピペ、段落付けをしなければならない。
やはりアウトライナーはブログの記事執筆(エディタ)というよりは、ブログで何を書くかを考える事前準備の段階でもっとも力を発揮すると感じた。
またしばらくブログ執筆以外のいろんな場面で日常的に使い倒して、あらためて感想を書きたいと思う。