はじめに
哲学って何だろう。哲学を知りたい。哲学をやりたい。
そんな衝動にかられる28歳。入門書を2冊読みました。
- 作者: 沢辺有司
- 出版社/メーカー: 彩図社
- 発売日: 2016/03/18
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
高校生のための哲学・思想入門 哲学の名著セレクション (教科書関連)
- 作者: 竹田青嗣,西研,現象学研究会
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/11/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
“いちばんやさしい"は1年か2年ほど前に同じような衝動にかられたときに買って、そのまま持っていた。ちょうどいいチャンスなので読んだ。さらにもう一冊は、入門書は一冊じゃなくて複数読もうということで今回買った。
そのときは鬱で、確か14歳からの哲学と一緒に買ったんじゃなかったかなぁ。
- 作者: 池田晶子
- 出版社/メーカー: トランスビュー
- 発売日: 2003/03/20
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 117回
- この商品を含むブログ (153件) を見る
いちばんやさしい哲学の本
32人の哲学者の思想の概要を、絵・図をもちいて簡潔にあらわした本。そんなに時間がかからず読めました。
「いちばんやさしい」と「図解」という説明に偽りもないし、哲学史をザザーっとふわーっと知るには最適かと思います。
高校生のための哲学・思想入門
一方でこちらは哲学者の原著、それに対する訳(意訳)、そして解説と薄い本と思いきや中身が濃く、読むのに時間がかかりました。もちろん全部理解できていませんし、原文は読んでいません。(笑)
この本も歴史に沿って20人の哲学者について乗っていて、内容・分量ともにあって、これ1人50分授業まるまる使うぐらいだろうなぁと、高校生が読むシーンを想像していました。
気になった哲学者
何人かメモを残しておいたので記録しておきます。
キルコゲール - 無限性の絶望と有限性の絶望
死に至る病を絶望とし、その絶望にも無限性の絶望と有限性の絶望がある。
なんにでもなれた、無限の可能性を持った自分。そして現実今ここにいる自分、他者から見られている自分を自分と預けてしまう自分。その両方に揺れながら本当の自分を求める様はまさに自分も考えたことがあるなと思いました。
「私にとって真理であるような真理を発見し、私がそれのために生き、そして死にたいと思うようなイデーを発見することが必要なのだ。いわゆる客観的真理などをさがし出してみたところで、それが私の何の訳にたつだろう」(ギーラレイエの手記) 一九三五年 - 哲学・思想入門 p94
これまでの哲学が客観的真理を求めたり、その真理を求める過程で主観とは何か客観とは何かを求めたりしてきたが、自分自身がどう生きるかを考えている点は現代の私も同じでなんだか不思議な気分です。
フロイト - エスと超自我
人間の心は、「意識」の領域と「無意識」の領域に分かれるが、「無意識」には抑圧された性的エネルギー(リビドー)がため込まれている。リビドーは「意識」のよう行きに上がろうとするが、ふだんはそれを抑え込む検閲の力が働いている。( 哲学・思想入門 p123)
夢ではこのリビドーと検閲の力のバランスが揺れることで支離滅裂であると述べている。
「自我」は二人の主人をもつ使用人にすぎない。まず「エス」だが、これは性的なリビドーの欲求をたえず自我に押し付ける。自我は、現実の要求とバランスを取りながらも、つねに「エス」の要求に配慮せねばならない。もう一人は「超自我」。これはいわば父親の威力と命令がいつの間にか内面化されたもので、つねに、「かくあらねばならない」という道徳的なモラルの要求を与えてくる。そして、この二つの主人の要求は、たいてい矛盾する性格をもつため、自我はその板挟みになって苦しむのである。(哲学・思想入門 p124)
これは納得ですね。今時だと「理性と感情」という言葉で言い換えられている概念と若干かぶってる気がします。ひとは本当にやりたい欲望を、理性でおさえている。だからお酒を飲むと理性の力が弱まり本来したい性質が出る、という説には自分で結構納得しています。
あと誰しもが"無意識に刷り込まれた"何かって持ってますよね、これが超自我と言われるとあぁ確かにと思えますね。
歴史学習と暗記
所感です。
ぼくは高校時代、社会科目、日本史や世界史、地理が苦手でした。暗記がつらかったからです。
今回ぼくは哲学の入門書をざっと2冊読んで、どういう哲学者がどういう思想をしたんだーふーんとは思いましたが、誰がどの考え方かなんて、覚えてはいませんし、覚える必要もありません。2冊とも、必要となったときに読み返せばいいと思っています。そうやってこれを足がかりにして、自分が興味ある哲学書を読んだり、あるいはそれらの哲学者がルーツとなった哲学書を読んだ時に読み返すことができればいいと思っています。
でも学校教育だと、哲学史も、何年にこういう思想をした哲学者の名前は?みたいな問題になりうるんだろうなぁとも思うし、
逆に、それはサービス問題として、「暗記すりゃ取れる」問題として実は出してくれてたのかなとか
暗記は結果としてついてくるもので、その思想の重要な部分や、その思想をどう捉えるか、で採点されればそれは素敵だなぁと思うし
いま、哲学を自分自身で学んでいて、暗記をしないまま勉強を進めていけるのは幸せだなぁと思ったのでした。
おわりに
哲学書は複数読む、そして教科書的な本を持ってリファレンス的に使う、そう学んだので複数読んでみました。教科書的な本は持ってませんけど。「あのひとってどんなひとだっけなー」のとっかかりをえるときにパラパラとめくれるので手元に置いておこうと思います。
さらに哲学・思想入門のほうではさらに次に読むならこの本、という紹介もあってとてもいい本だと思いました。
ざっくり歴史の流れをみると、ぼくは"言葉 “にどうしても関心があるので、ハイデガー、ウィトゲンシュタインあたりはもっと知りたい。逆にポスト構造主義と言われるフーコー、デリダは言いたいことはよくわかんないですね、気になるけど。これまでの哲学の批判というならこれまでの哲学も知ってなきゃいけなくて、結局古代の哲学も知ってなきゃいけなくて、、、先は長いですが、一歩足を踏み入れた感があります。
哲学は、ひとびとの思考の歴史。真理を求めること。認識を求めること。自己を求めること。何も求めないこと。そしていま、よりよく生きること。当時の世界情勢によって思想も変わってくるので一緒に世界史も勉強したいなと思えました。
そして考えることが好きな僕にとってやっぱりぴったりな学問でした。これから学ぶのが楽しみです。